翻訳家・柴田元幸のRead by body in 東京

『翻訳家・柴田元幸のRead by body in 東京』
を、6/1にnicolasで開催します。
昼の部、夜の部の二部構成です。
Session 1:柴田元幸&小松陽子『路地裏の子供たち』
Session 2:柴田元幸&勝井祐二『ジーザス・サン』トークゲスト:藤井光
企画は熊谷充紘(ignition gallery)
宣伝美術は横山雄です。

翻訳家・柴田元幸のRead by body in 東京

翻訳家・柴田元幸のRead by body。東京で開催する今回は、
6月1日、三軒茶屋にあるnicolasを会場に、小松陽子、勝井祐二をセッション相手に迎えて開催します。
トークあり、質疑応答あり。空気の振動を一緒に感じられる親密な空間で、
ぜひ“身体で読む”ことを体感してもらえたら。

気づくとのめり込んでいる小説があります。
それはきっと、頭ではなく身体で、小説を読んでいるから。
小説が身体を響かせ、自我という輪郭がなくなっていく。
そういう小説を読んでいる時はきっと、
人は音楽のように小説を体験している。
翻訳家・柴田元幸のRead by bodyは、
朗読と音楽のセッションによって、小説を身体で読むという感覚を体験してもらうイベントです。

柴田さんは原文を音楽として捉え、その響きやリズムを日本語で書き取っています。だから柴田さんの訳文は音楽のように、頭を使わなくても自然と身体に入ってくる。
いわば、翻訳家・柴田元幸は小説を聴くスペシャリスト。
柴田さんが原文から聴いている声を、読者にも聴いてもらうには、朗読をするのが自然でした。
朗読に音楽がくわわって、小説をより響きとして、身体で感じる。
一度、身体で読むと、きっと文章の身体、文体の捉え方が変わって、
また新たな読書体験に繋がっていく。
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Session 1:柴田元幸&小松陽子『路地裏の子供たち』
日程:2019年6月1日(土)
会場:nicolas(世田谷区太子堂4-28-10 鈴木ビル2F)
開場:13時 開演:13時30分
料金:2600円(nicolasのお菓子と1ドリンク付き)
出演:柴田元幸(朗読)、小松陽子(ピアノ)
定員:22名さま

4月22日に発売したスチュアート・ダイベック/柴田元幸訳『路地裏の子供たち』(白水社)。

本書の刊行を記念して、柴田元幸の朗読と、ピアニスト・小松陽子のピアノのセッションを行います。
『路地裏の子供たち』は、ダイベックが生まれ育ったシカゴ南側の工業地帯での原体験を元に書かれており、記憶を甦らせる装置として、路地裏の猥雑な音と、食べ物にまつわる描写が数多く登場します。
会場であるカフェ・nicolasの壁や天井、通気孔などには、さまざまな匂いや切れ切れの会話、言い争い、笑い声、ぱちぱちとはねる油の音などがしみ込んでいます。
この空間の残響と、小松陽子さんのピアノが共鳴することで、
小説の中の出来事がもう一度いまの出来事として生き直されているという実感を、体験してもらえたら。
そして、ダイベックには本作のほかに『シカゴ育ち』(白水社)という短篇集があり、そのなかに「冬のショパン」という作品が収録されています。
登場人物のひとりであるマーシーと、ピアニスト・小松陽子さんが重なったので、今まで柴田さんが一度も朗読してこなかった「冬のショパン」も、今回セッションします。ご期待ください。
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Session 2:柴田元幸&勝井祐二『ジーザス・サン』
日程:2019年6月1日(土)
会場:nicolas(世田谷区太子堂4-28-10 鈴木ビル2F)
開場:17時45分 開演:18時30分
料金:3900円(nicolasの前菜&メイン&デザート&1ドリンク付き)
出演:柴田元幸(朗読)、勝井祐二(ヴァイオリン)
トークゲスト:藤井光
定員:18名さま

長らく版元品切れとなっていたデニス・ジョンソン/柴田元幸訳『ジーザス・サン』(白水社)が、4月に重版されました。

これを記念して、柴田元幸の朗読と、音楽家・勝井祐二のヴァイオリンのセッションをおこないます。
“『ジーザス・サン』で何より目立つのは、そこらじゅうに地雷が仕掛けられているかのような、その文章にみなぎる電位の高さである。突如出てくる、書き違いではないかと思えるような一見場違いなフレーズは何度読んでもインパクトを失わない。”(訳者あとがきより)
この柴田さんのあとがきは、勝井さんのヴァイオリンとも共鳴していると思います。
文章、音楽にみなぎる強烈なイメージは、僕らをここにいながらどこまでも遠くへ連れていきます。デニス・ジョンソンも、勝井さんも、世界に対して開かれている。
“世界の表面が剥がれ、ぎりぎりの渕でしか見えないものが、強烈な密度で現れる。どうしようもない人間たちの、不穏でまぬけで殺伐として輝く風景の先で、それでも自分を助けることはできるのだと、その瞬間がここに書かれている。”
(柴崎友香さんの『ジーザス・サン』重版帯コメント)
どん底から救済を夢見る人々の姿を、日常に夢見るひと時をもたらすnicolasで、体感してもらえたら。
そして、2017年に他界したデニス・ジョンソンが死の直前に脱稿した、『ジーザス・サン』に続く二十六年ぶりの第二短篇集『海の乙女の惜しみなさ』(白水社)が、藤井光さんの翻訳で4月30日に発売されました。

そこで今回はセッションの間のトーク&質疑応答の時間に、ゲストとして翻訳家・藤井光さんをお迎えし、柴田元幸さんとデニス・ジョンソンについてお話いただきます。
こちらもご期待ください。
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Read by body in 東京・Session 1 & Session 2 共通チケット:6000円(nicolasのお菓子&1ドリンク、nicolasの前菜&メイン&デザート&1ドリンク付き)
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お申し込み:ignition gallery
下記アドレスまで必要事項を明記のうえ、メールをお送りください。
ignition.gallery@gmail.com
件名「路地裏の子供たち」、もしくは「ジーザス・サン」、もしくは「Read by body in 東京・共通チケット」
1.お名前(ふりがな) 2.当日のご連絡先  3.ご予約人数
*ご予約申し込みメール受信後、数日以内に受付確認のメールをお送りします。
*メール受信設定などでドメイン指定をされている方は、ご確認をお願いします。
*当日無断キャンセルの方にはキャンセル料を頂戴しています。定員に達し次第、受付終了します。

プロフィール:
柴田元幸

©島袋里美
翻訳家。米文学者・東京大学名誉教授。1954年、東京都生れ。
『生半可な學者』で講談社エッセイ賞受賞。『アメリカン・ナルシス』でサントリー学芸賞受賞。トマス・ピンチョン著『メイスン&ディクスン』で日本翻訳文化賞受賞。翻訳の業績により早稲田大学坪内逍遙大賞受賞。
アメリカ現代作家を精力的に翻訳するほか、著書も多数。
最近の翻訳に、ポール・オースター『インヴィジブル』、スチュアート・ダイベック『路地裏の子供たち』など。
文芸誌「MONKEY」の責任編集を務める。

小松陽子

福島県生まれ、ピアニスト/作曲家。
5歳よりピアノを始め、武蔵野音楽大学、同大学院にてクラシックピアノを学ぶ。卒業後、作曲活動を開始。
2016年にpiano atelier Flussをオープン、Yoko Komatsu Piano Schoolを開く。同年にピアノアルバム「neumond」を発表。
楽曲提供や、朗読をはじめ様々なコラボレーションを行うなど活動は多岐にわたる。

勝井祐二

ROVO . KOMA . TWIN TAIL . DRAMATICS . 勝井祐二 × U-zhaan . などのバンドやユニットと、ソロや様々な音楽家との即興演奏で、エレクトリック・ヴァイオリンの表現の可能性を追求し続ける第一人者。
1996年、山本精一と「ROVO」結成。バンド編成のダンスミュージックで、90~00年代以降のオルタナティブ~野外フェスティバルのシーンを牽引した。ここ数年は毎年タイを訪れ、現地のバンドに加わってタイ国内をツアーするなどの交流をしている。
2018年第92回キネマ旬報ベストテン文化映画部門第一位受賞の映画「沖縄スパイ戦史」の音楽を担当。サウンドトラックアルバム「勝井祐二フィルムワークス」を発表。
http://katsuiyuji.exblog.jp/

宣伝美術:横山雄
企画:熊谷充紘(ignition gallery)