うっかりにもほどがある。

近所に好きな居酒屋があります。
もちろんお料理は手がかかっていて、食材も素晴らしくておいしいのだけど、食べたい何かを目指してそこにいくのではなくて、そのお店に流れている空気に同化しにいく、というか。食事をしにいく呑みにいくというよりは、体感しにいく感覚というか。大将とお喋りできればうれしいけど、できなくても別にいい。それで、おすすめの何かをつまんで、ちょうどいい感じになってたのに、「今日北海道から珍しいの入ってるよ」とか言われて、ついうっかり「じゃ、それ、お造りでください」みたいなことになって、「次回はあれ食べよう」なんて言いながら帰るのだけど、次のときにはもう忘れてる。

オープンして間もない頃に(て、まだ間もない頃ですが)、
「テイクアウトしようと思ってきたけど、お店がいい感じだったからコーヒーも飲んでくことにしました」
というお客様がいて、この「ついうっかり」感がすごく嬉しかった。
一服しにコーヒーを飲みに行ったらついついケーキも食べてしまった。
本を読もうと思ってたのにうっかりワインを飲みすぎて酔っぱらってしまった(こんなはずじゃなかった)。
店でかかってる音楽がよくて、「これなんて人ですか?」って聞いてCD買って気付けばうっかりライブにまで行ってしまった。

そんな、理想的なお店に、ついうっかりなれたらいいなと思います。いや、ついうっかりじゃなれないな。