キャプテンは、部活やめないってよ。

タマフルの放課後podcastを聴いた。
「桐島、部活やめるってよ」は、ほんとに素晴らしい映画だと思う。

今更言うまでもないことだけど、飲食業というのは体育会系だ。「桐島」の世界でいうところのバレー部だったりキャプテンだったり。久保と風助のやりとりや、実果のかすみへの嫉妬、みたいな世界。
体育会系と文化系の折り合いの悪さはどうにかならないものかと、常日頃考えている。結論から言えば、僕はこの両立を目指している。それが実現できる場が、カフェだと思っている。文化系に属しながら体育会系の要素を持っている(あるいはその逆)、吹奏楽部のポジションがカフェなのかもしれない。だから、沢島亜矢のように揺れ動く。

たとえば、某イケメンシェフが歌を歌えば、体育会系からは「アイツなにやってんだ?」で、文化系からは「お前、こっちくんなよ」。某俳優がホニャララキッチンをやれば、体育会系からは「舐めた気持ちで料理なんかすんじゃねえよ」で、文化系からは「で、それおいしいの?」。
ラジオで宇多丸さんが、
「ラッパーにも、ラッパーとはこうあるべきみたいな同調圧力がある」
というようなことを言っていたがまさにそうで、飲食業でも、料理人はこうあるべき、きっと全ての職業で、その同調圧力はあるんだと思う。「ネクタイ絞めるような仕事やりたくなかったからねー」なんてうそぶいてみせる飲食業の人間も、結局サラリーマンと同じだということにすぐに気付く。
かすみが「鉄男」を観ることで、多くの文化系ボンクラたちは夢をみるのだけど(「グミチョコ」でも同様)、ほんとのところは「こっちくんな」感はかなり強いと思う。お前らみたいな恵まれたヤツらにこの本質がわかるはずがない、と。

この、お互いに思っている「こっちくんな」感を、なんとしてもとっぱらいたい。久保や風助や実果の言葉を、前田や武文に通訳できるようになりたい。もちろん逆も。
それができて、体育会系、文化系、どちらからも認められてる人って誰だ?
石井好子?澤口シェフ?伊藤理佐?

タモさんだ。

僕はずっとタモさんを目指して、ドラフトの声なんてかからないことをわかっていながら、深夜の素振りを続ける。
映画部とバレー部が同じ店内にいて、少しだけ相手に歩み寄れるような、屋上での前田と宏樹の出会いのような場に、カフェがなれたらいい。