飯と乙女。

渋谷ユーロスペースにて「飯と乙女」を観る。

食を題材にした映画は、やっぱりいちばん観たいジャンル。食材そのものにスポットライトが当てられている作品より、「食事」という行為を通しての人間関係を表現したものに、より興味があります。誰かと食事を一緒にするっていうのは、とても密で、とてもエロティックですよね。

いきなりですが、本編のあとにスピンオフの短編があり、ウサギの料理を食べるカップルの話だったのですが、どうもみたことがあるエチケットのワインだなあと思ったら、出演していたのが、あの中田英寿もワイナリーを訪ねているカステッロ・ロミトリオのオーナー(息子)。オーナー自らなかなかキワモノな役を見事に演じきっていました。Coniglio in padellaを作っていたシェフはローマの有名シェフだそうです。どうりでウサギのさばき方が尋常じゃなかった。自分の専門的な分野を、映画やドラマでおろそかに演出されているのをみて「これはないわ」と興醒めしちゃうことってないですか。その逆で、そういうディティールがしっかりしてるとそれだけで嬉しくなるものです。すげえうまそうでした、ウサギ。

「食べものを食べてもらうことで、メシを食っていく」という仕事をしているので、この映画本編のテーマの「生きるために食うのか、食うために生きるのか」「食う(生きる)ためには、あるいは食わせていくためには、なにかを犠牲にしなければならない」といったことはすごく身近で。よく言う「とりあえず飲食業なら賄いあるし食うには困らない」というのと、「この仕事でメシを食っていけるのか」というのは別の意味なので。あ、「パンがなければブリオッシュを食べればいいのよ!」ていうのとも全然別の意味ですので。

上映後、ご縁があって監督さんとも少しお話させていただきました。ウサギもロミトリオもありませんが、今度メシでも食いにきてください。