1500円。

作家の大崎梢さんがtwitterで図書館問題についてツイートされていました。
https://twitter.com/o_kozue
作家の樋口毅宏さんに端を発する図書館問題はこちら。
http://29346.diarynote.jp/201102261502533827/

「1500円」という金額。
多少金額の差はありますが、おおむね、
ハードカバーの本を1冊買うお金。映画を1本観るお金。CDを買うお金。ライブに行くお金(1500円2回分)。神宮球場外野自由席のお金。そしてカフェでお茶をする(1杯呑む)お金。

そんなにお金がたくさんあるわけではないので、この1500円というのはすごくリアルな金額で、何に使うかおおいに悩むわけですが、僕はやっぱり「この人にお金を落としたい」というところにいきつきます。好きな人にお金を払いたい。
「好きな人」というのは、この絶望的にどうしようもなく生きにくい世の中で、折り合いがつかずにもがいている僕らを救ってくれる、素晴らしい言葉、物語、映像、音、感動、時間、空気、を生み出すセンスと愛と世界観を持った人たち。更には、自分が身を置いている業界に危機感をしっかり持っている人たち。ボンクラな僕に生き方を教えてくれたのは、あの本、あの曲、あの映画、あの店、あの人。そういう人たちが、これ以上減ってしまったら、もうこんな世の中生きていけないよ。
樋口さんの言う「このままでは、皆が卵(本)をただでもらううち、鶏(著者)はやせ細り、死んでしまう」という言葉は、全ての業界に言えることだと思っていて、だから、自分を救ってくれる人たちに、新しい何かを作ってもらえるように、お金を払いたい。「オレらの業界このままじゃダメだ!オレが変えてやる!」って人に。

僕らもそうあらねば、と思い、日々を重ねています。

nicolasに「お金を落として」くださっている全ての方に、心から感謝します。

おしらせ。

誠に勝手ながら、
9/26(水)は、
18:00~
の営業とさせていただきます。

申し訳ありませんが宜しくお願い致します。

美徳のよろめき。

イタリアのヴェネトから生産者が来日します、という試飲会に行ってきました。
オーナーのカミーラ・ロッシさんは27歳の女性。来週28になるそうです。若い女性がつくっているというのは聞いていて、どうしてもご本人に会ってみたかった。ワインのイメージ通り、とても女性的で知的でキレイな方でした。こんな素敵な方が、ワイン用の葡萄を作りほかに売っていたというおばあちゃんの畑を受け継いで、18歳でワイナリーを立ち上げたっていうのがまたすごい。
「最初は、“女の子がワイン?”って誰も相手にしてくれなかった。月日が経つにつれて徐々に認められて、助けてくれる人たちが現れてきたの。」
なんてまるで、「おおかみこどもの雨と雪」のおかあさん、花のようなエピソード。

当たり前のことですが、つくっている人に会ってみたい、という気持ちは何にでもあります。果物を作っている人、鶏を育てている人、小説を書いている人、映画を作っている人、ワインを作ってる人。
「この人が、あのすばらしいものをつくった人なんだ!」と、間近にみて感じたい。そうすれば、もっと好きになれるから。いつでも何かをとっても好きになりたいと思っている。

カミーラさんがつくっているのは主に「ヴァルポリチェッラ」というワイン。葡萄を陰干しして、さらに長いこと樽で熟成させてつくる、なんともまあ大変に面倒なものをつくられています。そんなものを18歳からつくっているなんていうのは、女子高生が大江健三郎を読むようなものです。ヴァルポリチェッラとしては、少し線が細くてキレイすぎるのかもしれませんが、
「高校の図書室で、静かに三島を読んでいる山田詠美」のような、秘められた知的なエロさがある、そんなワインだと思います。

近々入荷する予定です。
ヴァルポリチェッラなんて言葉はとても覚えられない!噛んでしまう!という方は、
「美徳のよろめきください」とお申し付けください。

キャプテンは、部活やめないってよ。

タマフルの放課後podcastを聴いた。
「桐島、部活やめるってよ」は、ほんとに素晴らしい映画だと思う。

今更言うまでもないことだけど、飲食業というのは体育会系だ。「桐島」の世界でいうところのバレー部だったりキャプテンだったり。久保と風助のやりとりや、実果のかすみへの嫉妬、みたいな世界。
体育会系と文化系の折り合いの悪さはどうにかならないものかと、常日頃考えている。結論から言えば、僕はこの両立を目指している。それが実現できる場が、カフェだと思っている。文化系に属しながら体育会系の要素を持っている(あるいはその逆)、吹奏楽部のポジションがカフェなのかもしれない。だから、沢島亜矢のように揺れ動く。

たとえば、某イケメンシェフが歌を歌えば、体育会系からは「アイツなにやってんだ?」で、文化系からは「お前、こっちくんなよ」。某俳優がホニャララキッチンをやれば、体育会系からは「舐めた気持ちで料理なんかすんじゃねえよ」で、文化系からは「で、それおいしいの?」。
ラジオで宇多丸さんが、
「ラッパーにも、ラッパーとはこうあるべきみたいな同調圧力がある」
というようなことを言っていたがまさにそうで、飲食業でも、料理人はこうあるべき、きっと全ての職業で、その同調圧力はあるんだと思う。「ネクタイ絞めるような仕事やりたくなかったからねー」なんてうそぶいてみせる飲食業の人間も、結局サラリーマンと同じだということにすぐに気付く。
かすみが「鉄男」を観ることで、多くの文化系ボンクラたちは夢をみるのだけど(「グミチョコ」でも同様)、ほんとのところは「こっちくんな」感はかなり強いと思う。お前らみたいな恵まれたヤツらにこの本質がわかるはずがない、と。

この、お互いに思っている「こっちくんな」感を、なんとしてもとっぱらいたい。久保や風助や実果の言葉を、前田や武文に通訳できるようになりたい。もちろん逆も。
それができて、体育会系、文化系、どちらからも認められてる人って誰だ?
石井好子?澤口シェフ?伊藤理佐?

タモさんだ。

僕はずっとタモさんを目指して、ドラフトの声なんてかからないことをわかっていながら、深夜の素振りを続ける。
映画部とバレー部が同じ店内にいて、少しだけ相手に歩み寄れるような、屋上での前田と宏樹の出会いのような場に、カフェがなれたらいい。

Hemisphere vol.2。

アアルトコーヒーの庄野さんが発行されている小冊子、
「Hemisphere」の第2号が出ました。
http://aaltocoffee.com/news.htm

今回は映画特集です。
前回に引き続き、僕も少し文章を書かせていただきました。
近々、nicolasでも販売させていただく予定です。
840円です。 CD-R付きです。
僕の文章なんてものはアレですが、あんな方やこんな方が映画についてあれこれ書いていますので、ぜひ買ってください。

加えて、
SHIBUYA BOOKSELLERSで開催されている、「第3回 SPBSリトルプレス100」にも、Hemisphereが出品されているそうです。
9月末まで開催しているそうなので、あわせてこちらもぜひ。

西方冗土。

何の気なしに、中島らもを読み返してみた。
らもさんは、
「街を好きになるというのは、街並みがどうとか風土がどうとかいうことではなくて、その街に自分の好きな人たちがいるかどうか、これにつきる。」
と言っていた。

僕は、三軒茶屋が好きだ。

おしらせ。

誠に勝手ながら、
9/6(木)は、
臨時休業とさせていただきます。

申し訳ありませんが宜しくお願い致します。

ポケットに名言を。

明日からちょっと、旅に出てきます。

旅の準備において何よりも重要なのは、みなさんご存知のとおり「どの本を持っていくか」です。これを書いている今現在、スーツケースにはまだ何も入っていませんが、この1週間、どの本を持っていこうかずっと考えていました。

常連のお客さんの中には、プーケットのビーチで寺山修司と浅田次郎を読むという快挙を成し遂げた方がいらっしゃいました。むむ、負けられん、と思いました。

これを機に、昔読んで「あれって、どんなハナシだったっけ?」というような本を再読するということも考え、高橋源一郎の「さようなら、ギャングたち」をぱらぱらと読み返してみましたが、なんとまあ、美しい日本語なんでしょう。
杉浦昭嘉の「原発と拳銃」は、持っていこうと思っていたのに読んでしまいました。朝井リョウ「桐島、部活やめるってよ」も、映画を観た流れで読んでしまい、ちょっとどっぷりした気持ちになってみたりして、楽しい旅の前になんて気持ちになってしまっているんだ!いけないいけない。かといって、「冷静と情熱のあいだ」…なんて、さすがに読む気にもならないし。

そんな折、今日本屋さんで手に取った岸本佐知子の「ねにもつタイプ」。1話目の「ニグのこと」を読み、これだ、と確信。旅に必要なのはこういう本。
あとは、武田百合子の「犬が星見た ロシア旅行」を。いや、ロシアにいくわけではないんだけど。

行ってきます。

夏季休業のおしらせ。

8/13(月)~8/21(火)
まで、
nicolas、夏季休業を頂きます。

宜しくお願い致します。

おしらせ。

誠に勝手ながら、
7/23(月)は、
18:00~
の営業とさせていただきます。

申し訳ありませんが宜しくお願い致します。